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福島第一原発事故の収束作業で出くわす可能性のある労働者派遣法違反②

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TOP 労働者側がどんどん不利になるわけ 人材派遣と国・産業界 原発事故収束作業での派遣法違反② 数々の違反状態が放置されているのが、福島第一原発の廃炉作業・除染作業 【本当は「建設工事の後片付け」でも禁止。廃炉作業が禁止でないはずがない】 次のありうる違反として「禁止業務」。 「建設業務」は、「港湾」「警備」「医療」とともに労働者派遣が禁止されています。理由は作業の危険性が高く、労災などの時に間接雇用ではどこが責任をとるかあいまいになり、補償もあやふやにされがちだからです。 福島第一原発の建屋内や周辺では、配管関係を始めとして、各種の建築に近い工事が行われていて、そこに派遣労働者が配置されているのはよく知られてるところです。 労災を専門とする弁護士らからは、「『廃炉作業』のほとんどが、建築工事に当たる」との指摘さえあります。が、これで実際に摘発されることはほとんどありません。 摘発された実例としてあるのは、「除染作業で重機を使った」という時ぐらいです。 ちなみに通常であれば、「建設工事の後片付けをした」「建設中の工事現場にシートをかけた」でさえ、「建設業務」とみなされます。 それが廃炉作業でさえ違反が問われていないのですから、「作業の必要性から国・厚生労働省が黙認している状態」と考えていいでしょう。 続きを読む 折りたたむ 【廃炉作業・除染作業でも派遣切り】 つぎに「違法解雇」。 廃炉作業・除染作業などに当たっていた労働者らが予告なしに解雇される例がいくつか明らかになっています。いわゆる「派遣切り」が福島でも行われているのです。。 たいていは「偽装派遣」も絡んでいて、複雑な違反構造になっています。また、中には「被爆度を測る線量計のごまかしを命じられて、それを拒否した結果、解雇された」という、人を人とも思っていない扱いまであります。 事実上の労働者派遣状態だった場合まで含め、業者側や派遣先の都合で、契約期間中に雇用を打ち切ることはできません。 仮に当初予定の作業がなくなったとしても、人材派遣会社側は、契約した期間中は代わりの仕事を確保する義務があります。 【就業条件明示書がない場合までもがある】 これら以外では、「労働条件が事前にはっきり提示されていない」「事前にいわれていた労働条件と実際が違う」

福島第一原発事故の収束作業で出くわす可能性のある労働者派遣法違反①

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TOP 労働者側がどんどん不利になるわけ 人材派遣と国・産業界 原発収束作業の派遣法違反① 暴力団の関与、ピンはねなど問題続出なのは承知しておくこと 福島第一原発事故の収束作業あるいは除染作業では多くの派遣労働者が送り込まれています。 「暴力団がかかわっている」「給料はものすごいピンはねをされている」といったことが散々話題になっています。 ここでは人材派遣の求人に応じた場合に、この福島原発関連の仕事に行って出くわす可能性のある労働者派遣法違反を考えてみます。 【「人材派遣」「請負」「職業紹介」の区別はつくように】 まず、最初に押さえておくべきことは、「人材派遣(労働者派遣)」「請負」「職業紹介」の違いです。 暴力団、ピンハネだけではなく、放射能の危険性もありながら、応募するぐらいです。まったく余裕もなく求人に応じる人が大半でしょう。これらの区別もほとんどつけていないと思います。 まず、もっともシンプルなのは「職業紹介」です。 この場合は、業者とあなたとのかかわりは、紹介された先で働き始めたときには解消しています。あなたと雇い、給料を出すのも、紹介された先です。 「人材派遣」と「請負」は〝ちゃんとやっていれば〟、雇い主は求人をした業者自身です。給料もここから出ます。 「だれから仕事上の指示を受けるか」がこの両者で異なります。人材派遣では「派遣先」です。「請負」ならば送られた先の人ではなく、「請負業者」です。つまり、求人を出し、あなたを雇った業者です。 続きを読む 折りたたむ 【「偽装派遣」が問題になるのは、労災などのトラブルの時】 で、まず考えられる労働者派遣法違反は、「偽装請負」です。契約上は「請負」なのに、実態として「人材派遣」になっている形です。 つまり、仕事上の指示はあなたの雇い主である請負会社(A社)からだけ受けるはずが、行った先の仕事の場にいるほかの会社(B社)の人間からの支持で働いている形です。 「これが違反とされている理由」は、「責任の所在が分からない」です。 もし、この状態であなたがケガをする、過労で倒れるといった労災に遭ったとします。本来指示を受けてはいけない相手(B社)から指示を受けての事故ですから、その相手(B社)が責任を逃げてしまう可能性があるのです。 【二重派遣どころ

新入社員・S君

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TOP 私の人材派遣体験 私が出会ったトホホな人たち  新入社員・S君 大甘の新入社員。ダメになっていこうが、派遣労働者の私にはかかわりはない 地方の電子部品工場に派遣労働者として5か月いました。その間にそこの新入社員も来ました。 私がやっている機械による電子基板の加工検査のところにも、ひとり回されてきました。それがS君でした。 【就職先を間違えると、職業人としての意識など全く無縁になる】 この工場自体、田舎にあるのですが、まったく違う遠くの田舎の大学を出て、ここにやってきたようでした。 一緒にいたのは一か月半ぐらいでした。が、みるみる社会人・職業人として悪くなっていくのが分かりました。 普通、学校出たての人間は右も左もわからず、鍛えられて一人前に近づいていくはずです。が、その工場のようにガバナンスもなんもないようなところに来ると、入社時よりもさらに悪くなるというのは、私も意外でした。が、実際に目の前で展開されていました。 続きを読む 折りたたむ 【新人なのに、まともは指導係が周辺にいない】 「新人なので当たり前」ともいえますが、ルーズな仕事ぶりが目立ちました。 周辺にいるのは、使役動物のようにいやいや仕事をやっているような社員と、派遣労働者の私だけでした。 たとえば、電子基板をまとめるベルトをかけるのにしても、ずれた位置に止め、私がひとこと注意しても、「○○さんに、これでいいといわれた」。 この○○さんとは、私に工程飛ばしの未検査出荷を指示した人間です。 この電子基板を加工しているところからまとめて持ってくるのに、軽トラックを使います。 とても雑な積み方をしているので、「これだと崩れるよ」というと、「短い距離だから大丈夫」とすべて楽な方、いい加減な方に合わせるといった状況でした。 で、その運んできたものを検査機にかけようとすると、端がめり込んでいます。軽トラックの中で崩れて、下に打ち付けたのは明らかです。 これは私はもう何も言いませんでした。 【派遣労働者なんだから、相手は新人でもガタガタいう立場にない】 かつて正社員だったころは、私は後輩らにとってうるさ型だったという自覚はあります。 が、ここではひとこと言って、相手がいうことを聞かなければ、もうそれで終わりにしました。 当然、私

人材派遣・労働者派遣・労働者供給②

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TOP 人材派遣を知る 人材派遣の用語 労働者供給② 本当は「人夫請負業」なのに「人材派遣」と言い換えている状態 労働者供給 【職業紹介ならば、ピンハネはない。が、「人材派遣」と「労働者供給」はずっと続く】 この「労働者派遣(人材派遣)」と「労働者供給」の違いが分かりにくいので、もう一度違いを挙げておきます。 「派遣」の場合は送り込まれて、職場となっているところから、仕事上の指示は受ける。が、雇われているわけではない」ということです。 「供給」の場合は「送られた先で、実態としては雇われている」ということです。 「労働者供給」と「職業紹介」の違いも考える必要があります。「送られた先で、実態としては雇われている」に関してはこの両者は同じですから。 「供給」の場合は供給元(業者)が供給先(職場の事業者)からお金を受け取り、その一部を給料として、労働者に渡しています。その労働者が働いている間はずっと、「ピンはね」が続きます。 「紹介」の場合は給料は職場として送られた先から直接労働者に渡されます。業者が受け取るお金は、送った先からもらう一回限りの謝礼(紹介料)です。 続きを読む 折りたたむ 【派遣先で「お前は首だ」と言われるようならば、違反の「労働者供給」状態】 労働者供給は明確に法律で禁止されています。なので、契約書などに書かれていることはありません。 また、自分では「実態としてそうであるかどうかは」は判断しにくいでしょう。 で、一例として挙げておくと、「派遣先の人間(指揮命令者)から『首だ』といわれた」というのであれば、「実態として労働者供給状態」と考えていいでしょう。 この言葉が出るということは、向こうは「自分が(あるいは自分の会社が)雇っている」と考えている証拠でしょうから。 【「労働者供給」だけで、問題視されることはほとんどない】 「事前面接があって、その結果採用になった」というのも、「実態として労働者供給状態」と考えていいでしょう。 採用する・しないは雇い主のすることだからです。 「事前面接は労働者派遣法の上で明確に禁止されていても、実際にはほとんどの派遣先が行っている」というのは、いくらかでも派遣労働者として働いた経験のある人ならば知っていることでしょう。 つまり、「労働者派遣(人材派遣

際限のない労働者派遣法の骨抜き。今度は派遣期間の無期限化

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TOP 労働者側がどんどん不利になるわけ 人材派遣と国・産業界 際限ない派遣法の骨抜き 守られることのない労働者派遣法が、さらに内容を緩められようとしている 労働者派遣法はザル法だ。内容に不備がある。なのにこれをさらに緩めようというのが厚労省の基本的なスタンスだ。 今(2013年12月中旬)話題になっている労働者派遣法の改正を伝える記事の中でも、その問題点を指摘している。 が、それ以前に現在の内容でさえ、多くの派遣先は守っていないことは覚えておく必要がある。 【労働者不利、派遣先の有利の改正が検討されている】 この記事は東京新聞HPの『派遣 全職種無期限に 非正社員化進む懸念』(12月12日)。 今は「専門26業種」として指定されている特殊なもの以外は、派遣先が派遣労働者を受け入れる期間は「原則1年、労働組合など職場の過半数が代表する者が認めれば3年」となっている。 今は「派遣労働者を使うのはあくまで一時的な人手不足解消策。本来は直接雇用の人間を置くべき」というのが基本的な労働者派遣法の考え方だ。 これを「労働組合などが認めれば、別の人間に入れ替え、3年ずつ延長可。事実上無期限へと変更する。あるいは最初から無期限での契約も可能にする」というのだ。 「安くて首を切りやすい労働者をずっと使っていい」ということだから、一方的に事業者(派遣先)に有利になるのは言うまでもない。 続きを読む 折りたたむ 【今でさえ「反対された」「意見聴取をしなかった」でも、派遣期間延長】 まずは、どう「現状でさえ、派遣労働者の受け入れ期間が守られていない」か。 ちなみに、この期限の来る日のことを「抵触日」という。 で、2005年に厚労省が派遣期間を「3年」としている事業所にとったアンケートがある。 で、回答が…… ①「(組合などが)賛成であったため定めた」=119社(60パーセント) ②「反対であったが定めた」=17社(9パーセント) ③「意見の聴取を行わなかった」=56社(29パーセント) ④「不明」=4社(2パーセント) ……となっている。 つまり、事業所(派遣先)のうちの1割が職場の反対を無視、それ以外の3割は手順を踏んでいないことになる。 アンケートの古さが気になるが、これしかない。この事実自

人材派遣・労働者派遣・労働者供給①

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TOP 人材派遣を知る 人材派遣の用語 労働者供給① 「労働者供給」が分かっていないと、法律違反にも気が付かない可能性が高い 「人材派遣」「労働者派遣」「労働者供給」は同じ言葉、あるいはほぼ同じ言葉です。 が、厳密なところで違ったり、使われる場面が違います。より正確に理解するにはそれぞれの違いは意識しておく必要があるでしょう。 【「労働者派遣」はイメージが悪いので業者が言い換えた】 まずは「人材派遣」と「労働者派遣」です。 「労働者派遣法」という言葉に代表されるように、法律用語では、「労働者派遣」しか使われていません。 が、これを扱う業者は必ず「人材派遣」としています。 というのは、「労働者」では、「単純労働」「肉体労働」のイメージがついています。今は使わないような言葉ならば「労務者」が近いでしょう。 また、、「ソフト開発」とか「パソコンを使っての事務仕事」などは、「労働者」とは少しずれを感じるのも確かです。 「単に時間と肉体を提供するだけではなく、何か技能を買われた人」というイメージを出すために、業者が好んで使っているのが、「人材派遣」です。 続きを読む 折りたたむ 【一般にも「技能を持った人間を送り込む」という意味で使う】 また、人材派遣は必ずしも、「労働者派遣」の言い換えとも限りません。 たとえば、近年不祥事続きのJR北海道に職場の改善のために、政府指導でJR東日本からスタッフが送り込まれる計画があります。この時も「人材派遣」という言葉が使われています。 「人材派遣」は普通の用語としても、そこそこの使用頻度があると考えていいでしょう。 この時には「人材」には、「何か技能を持っている人」との意味が込められているのが普通でしょう。 【今でもある「労働者供給」】 問題になるのが、「労働者供給」です。 文脈としては、「戦前にみられた労働者供給事業」とか、「労働者派遣のはずが、事実上労働者供給になっていた」といったように使われます。 特に多いのが後者の方で、労働者派遣法違反の説明として使われます。つまり、これが分かっていない派遣先は、派遣労働者を使っているつもりが、知らないうちに違反状態になっている可能性もあります。 また、派遣労働者も当然守られるべき権利などが無視されているのに気が付い